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カテゴリ:エッセイ

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恋するフェルメール

 有吉玉青さんの「恋するフェルメール」を読みました。

恋するフェルメール 37作品への旅 (講談社文庫)

有吉 玉青 / 講談社



 有吉玉青さんは、有吉佐和子さんの娘さんでもあります。

 玉青さんの作品で特に好きだったのが、ニューヨークに留学していた頃のエッセイ「ニューヨーク空間」。

 今回の「恋するフェルメール」は、まだフェルメールが今ほど日本中にポピュラーになる前に好きになり、フェルメールの全作品を見ようと決心し、各作品ごとにエピソードを書かれていて、全作品の写真も掲載されていて(カラーで)読んでいて楽しくなりました。

 私の中のフェルメールといえば、これ。



 「真珠の首飾りの少女」です。

 だけど、有吉さんはこの絵の少女の瞳が恐いとのこと。

 この作品をもとに映画化されましたが、その映画についても触れていて興味深かったです。
 
 スカーレット・ヨハンソンは絵の中の「少女」そのもの。
 以前から気になっていたのですが、この本を読んで、ますます観たくなりました。

 
 「ニューヨーク空間」でも留学生活を夢のような楽しい日々、というものではなく、留学生活の孤独を主に描いていたような気がしましたが、今回もそれを思い起こさせる文章がありました。

 ニューヨークに行けば素敵な自分になれる、と思っていた作者。
 しかし、現実は、毎日学校とアパートを往復する日々。

 

 でも、やっていくしかない。

 辞書をひき、授業に出る。レポートを書く、試験を受ける、それしかない。

 そして、生きていくって、こういうことではないのか。

 夢ばかり見ていたけれど、人生は実は地味なもので、一日一日をやっていくしかない。

 これもまた、ニューヨークで身をもって知ったことだ。

 以下略


 ここではないどこかへ行けば私はもっと素敵になって楽しい日々を過ごせるはず、いまだに漠然とそんな風に思うことがある私には、この文章は響きました。

 ホントに、生きていくってそういうことなんですよね。




 写真ブログを始めました。
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 ねことひつじと

by chimamotto | 2011-10-15 16:33 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

道草びより

 杉浦さやかさんの道草びより」を読みました。

道草びより (祥伝社黄金文庫)

杉浦 さやか / 祥伝社



 杉浦さんのファンで、新刊がでるたびに必ず買ってしまいます。

 ふわっとした可愛いイラストとエッセイに癒されます。

 今回の「道草びより」も期待を裏切らない素敵な本でした。

 人生の道草も大事だよねっていうことをあとがきか何かに書いていました。

 楽しそうに見えても生きているといろいろ大変なことがあるんですねえ・・・。


 としみじみしましたが、杉浦さんのことをネットで検索していると、糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」のイベント?に杉浦さんが出演されていたそうです。

 そして、編集者の山下哲さんとトークライブをされていて、そこで、愛犬のお気に入り写真を披露されていました。(写真はほぼ日刊イトイ新聞から引用させていただきました。)



 杉浦さんの愛犬ももちゃん。

 杉浦さんらしい可愛らしいお写真。

 と思っていると・・・、



 衝撃の2枚目!

 酔ったお父さんがももちゃんの肉球に噛みつき、驚いたももちゃん、の瞬間だそうです。

 これ、職場で昼休みに見て、思わず吹き出してしまいました。

 こういう感性もすごく好き。


 ちなみに、「わたしのすきなもの」を読み返していると、まさにお父さんとももちゃんのこの写真をイラストで再現していてまたまた笑ってしまいました。
 

わたしのすきなもの (祥伝社黄金文庫)

杉浦さやか / 祥伝社



 最近くさくさしてたのですが、杉浦さやかさんのおかげで、かなり癒されました。

by chimamotto | 2011-09-03 17:40 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

キューバでアミーゴ!

 たかのてるこさんの「キューバでアミーゴ!」を読みました。

キューバでアミーゴ! (幻冬舎文庫)

たかの てるこ / 幻冬舎



 たかのてるこさんは、旅が大好きな現役の銀座OLです。

 デビュー作は、「ガンジス河でバタフライ」。

 この作品は、長澤まさみちゃん主役でドラマ化もされました。

ガンジス河でバタフライ ディレクターズ・カット版【2枚組】 [DVD]

東宝



 この時のまさみちゃん、ものすごく可愛かった・・・。


 そんな旅エッセイシリーズも今作で6作目。

 今回は、タイトルどおり、キューバ旅行のエッセイです。


 作者は、

 「旅の目的は、人に出会うこと!」

 と言っているように、ガイドブック代わりになるような内容ではなくて、

 たかのさんが出会った現地の人たちとのふれあいが作品全部という感じです。


 しかも、ほんの2週間しか滞在していないのに、毎回濃密な人間関係を築き、たくさんの友達を作ってしまうのです。


 キューバという社会主義国家なんだけど、ラテンで明るくてダンス大好きな人たちの出会いやら、歴史的背景やら、貧しい生活の中の豊かな心の持ちようとか、とても興味深かったです。


 人見知りであまり喋る方ではない私は、友達を作るのがあまり得意じゃありません。

 日本にいても無口なほうなのに、英語となるとさらに無口になり、「気分が悪いのか?」と心配されることもしょっちゅう。

 なので、たかのさんがどこに行っても、心を全開にしてパワフルに旅をし、素敵な友達を作っているのがとてもうらやましいです。

 
 旅に出たいけれど、今は行けそうにないなあ・・・という方にオススメです!


 

by chimamotto | 2010-09-23 18:05 | エッセイ | Trackback | Comments(4)

ミッキーたくまし

 西加奈子さんの「ミッキーたくまし」を読みました。

ミッキーたくまし

西 加奈子 / 筑摩書房



 小説家の西さんのエッセイで、「ミッキーかしまし」の続編です。

 (「ミッキーかしまし」についての記事はこちらへ。

 相変わらず西さんの周囲は奇人変人だらけで、素敵な日常です。

 でも、前作の「ミッキーかしまし」があまりにも面白すぎたので、それを期待して読むと、「あれ?こんなもん?」と上から目線な感想になってしまうので注意が必要です。


 前作を既読の方は、期待せずに読むことをオススメしますし、

 前作を未読の方は、「たくまし」を読んで「かしまし」を読むと面白さを長く楽しめてエコです。



 西加奈子さんの小説で、「さくら」という愛犬と家族の名作があるのですが、その小説を読むといつも思い出してしまう幼なじみがいます。

 その子が犬好きだったからだと思っていたのですが、西さんのエッセイを読んで気づきました。

 幼なじみは西さんに限りなく似ている、ということに。

 モノの考え方やら面白いと思うことやら何やら。

 エッセイは喋り口調で書かれているのですが、その口調が幼なじみと似てること似てること。

 表現の仕方とかもその子が言ってそうで可笑しくて、幼なじみに久しぶりにメールしてしまいました。

 
 で、やっぱり今回もエッセイを読んで思ったこと。

 西さんとは友達になれそうだなあ・・・。


by chimamotto | 2010-06-10 17:13 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

世界で一番乙女な生きもの

 光浦靖子さんのエッセイ、「世界で一番乙女な生きもの」を読みました。

世界で一番乙女な生きもの

光浦 靖子 / 宝島社



 2007年5月から2009年10月まで月刊誌に掲載されていた日記風エッセイが1冊の本にまとめられています。

 このブログで何度も書いてますが、私は本当に光浦さんが大好きです。

 このエッセイも激しく共感しつつ、可笑しくて笑ってしまい、ときどきしんみりしました。


 まえがきで、

 

 私の口に出すこと、想像することは、どうも他人様にその楽しさが伝わりにくいらしく、ある人は私が何か言うと、いちいち「やめな。そういうネガティブ発言」と言ってきます。

 ま、確かに、真のネガティブは良くないですよ。

 でもさ、私の場合はちょっと違うわけだし。

 願いは口に出してると叶うとか、いつも笑顔でいると幸せになれるとか、あんまり言われると・・・・・・うざいです。

 なんでもネガティブだと解釈しちゃうのは、逆に、アナタの脳こそがネガティブ粒子でいっぱいだからじゃないんですか?

 なんでしょうね。最近多くないですか?
 
 「ポジティブなことを常に口に出してないといけない」恐怖症の人。

 もうね、どっこも明るくないんですね。

 息苦しいんですね。

 リラックスしなきゃってヨガを一生懸命やる人、スローライフがしたかったんだ、と常に自分に言い聞かせてる人、みたいに。

 以下略


 と、書いている光浦さん。


 わかる、わかる、わかるよ~。

 私も根がネガティブだから、ついついネガティブ発言してしまうのですが、その度ごとに、

 「そんなコト、言っちゃダメ!」

 ってポジティブに軌道修正されると、さらにネガティブになってしまいます。


 だけど、最近の世間は、「ポジティブ思考=正しい」とされているから、みんながみんなポジティブポジティブ口角上げて!ってな雰囲気で自分が疲れていると、そのポジティブな空気にげっそりします。


 光浦さんの毎日は、きらびやかな芸能人の生活とは違って地味目ですが、趣味の手芸を楽しんだり、お友達(女芸人仲間、オカマの友達・・・)とご飯を食べたり、大好きな甥っ子の動画をくり返し見て微笑んだり・・・、かなりの充実ぶりなのです。

 仕事も恋愛以外のプライベートもこんなに充実してるなら、それだけで十二分に幸せそうだなあ、と思いました。


 よゐこの有野さんの娘さんが大好きで、その子の入園式に有野さんとその奥さんと3人で出席し、クラス写真にまでおさまってきた光浦さん。

 「1着だけなら娘とおそろいの服を買ってもいいよ」と有野さんに言われて、嬉しくて舞い上がってしまう光浦さん。


 こういう箇所を読むと、「かわいそう」と勝手に同情してくれる方々がたくさんいそうですが、これは全然ネガティブじゃない発想です。

 光浦さんと同じく未婚で子なしの私は、「うらやましい」と思います。

 そういう提案をしてくれる有野さん夫婦の存在がいるってことが。


 「こんなこと提案したら、光浦さん気を悪くするかしら?」ってとこを飛び越えて信頼関係を保っている友達関係を築けているってことですよね。

 そういう友達がいるのは、自分で家族を作るのと同じぐらい貴重だと思います。



 それから、このエッセイの第1章は、故飯島愛さんと秋葉原に行ったというエピソードが書かれています。

 2007年5月だから、愛ちゃんが引退した直後で元気だった頃です。

 光浦さんの目から見た愛ちゃんの素顔を綴っているのですが、それが、テレビで見てた飯島愛そのものでとても懐かしかったです。

 あとがきは、光浦さんから飯島愛さんへのレクイエムみたいな感じになっていて、二人は本当に仲の良い友達だったんだなあとしみじみしました。


 ちなみに、本の帯に、直木賞作家の角田光代さんが、

 「光浦さんの、無骨なロマンチック、たおやかな男気、硬派な乙女っぷりに、やられました。

 光浦さん、オトモダチになってください!」

 と大絶賛してます。


 
 私がだらだらと何行にもわたって絶賛するよりも、角田さんのこの2行が何百倍もこの本の面白さを伝えてることは間違いないです。


 
  

by chimamotto | 2010-05-19 15:01 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

大久保さん

 大久保佳代子さんのエッセイ、「私、地味女(ジミージョ)」を読みました。

私、地味女

大久保佳代子 / 大和出版



 大久保さんは、光浦靖子さんとオアシズというお笑いコンビを組んでいる女芸人でありながら、OLの仕事もこなしているという方です。

 数年前までは、レギュラー番組「めちゃめちゃイケてる」ぐらいでしか大久保さんを観る機会はなかったのですが、アラフォー独身女芸人の人気が高まるにつれ、大久保さんの面白さに世間が気づき、最近ではピンでもいろんな番組に出演し活躍しています。

 そんな私も大久保さんのファン。

 アラフォー独身女芸人の中ではトップ3に入る(私の中でね)ほどのファンです。

 トップ3の面々は、

 大久保さんの相方、光浦靖子さん。もう大好き。

 そして、

 椿鬼奴さん
 奴さんも大久保さんと同時期ぐらいに面白さが分かって好きになりました。
 笑いをとることに貪欲じゃない、奴さんのマイペースな笑いが大好きです。

 
 彼女たちのファンなので、友達との会話にも自然と彼女たちのことが話題になるのですが、
 「この間、光浦さんが・・・」
 とか、
 「この間、奴さんが・・・」
 と言った時には、友達も「ふんふん」と相槌を打ってくれるのですが、

 
 「この間、大久保さんが・・・」
 と言うと決まって必ず、
 「大久保さんって誰?どこの大久保さん?」
 と質問されます。

 もちろん、「芸人の・・・」とか「光浦さんの相方の・・・」と説明するとすぐに分かってくれるのですが。

 多分、大久保さんが芸能人からも「大久保さん」と呼ばれていること、
 「大久保さん」という姓がどこにでもいそうだということ、
 が、「大久保さん=一般人」と錯覚される所以だと思います。


 大久保さんの文章も面白い!ということを知ったのは、光浦さんとの往復書簡「不細工な友情」を読んだときでした。
 
 今回の「私、地味女」も大久保さんの面白さが伝わってきます。

 合コンが「追いはぎ」に遭ったような気持ちになったり、他の女芸人のブログをマメにチェックし忙しそうな内容だと怒り沸騰、駆け出しの女芸人の「今からバイト」という内容のブログを発見してホッとしたり、テレビの仕事の次の日がOLの仕事だとむなしさを感じたり・・・、

 と、芸人+OLという大久保さんならではのエピソードがたくさんあります。

 
 プロローグで、

 
 毎日、とりあえず目の前にあることをこなしつつ、ひっそりと結婚という人生の転機を待ってはいるものの、その気配は皆無な状況。

 そんな地味めな日々をエッセイにしてみました。

 地味な人には共感を、派手な人には同情を得られたら嬉しいです。
 以下略


 と書いてます。


 もちろん、共感しました。
 コレを読んで同情する人もいるんでしょうが、多分、そんな人は笑いのセンスがないんじゃないかな?
 大久保さんの日常は一見地味ですが、実際、そんなこと誰もが経験できないでしょう!っていう面白さに包まれています。


 ただ、大久保さんのエッセイだけでは「地味すぎる」と編集者が思って大久保さんを何割か増し美人にしたキャラクターの4コマ漫画も入っていますが、漫画はいりません(面白くもないし・・・)。
 「地味女」なんだから、本の内容も地味でいいと思います。

by chimamotto | 2010-05-12 12:38 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

エリー・マイラブ

 最近気になるエリーさんがふたり。


 ひとりは、この人。

 豊田エリーさん。
 俳優の柳楽優弥さんの新妻として有名になりましたが、この写真のCM「ぱなしのはなし」で見せる愛らしい笑顔が印象的なタレント(?)さん。
 とりあえず、豊田エリーさんのこの笑顔を見たらあまりの可愛さに癒されます。


 そして、もうひとりがこの人。

 大宮エリーさん。
 映画監督・脚本家・作家・演出家・CMプランナーをされている今をときめく奇才です。

 大宮エリー、大宮エリー、とにかく、今は大宮エリーがスゴイのだ!と数年前から世間が騒いでいたのは知っていたのですが、エリーさんの作品もエリーさんご自身についても知る機会がなかなかなかったのですが。

 大宮エリーさんのエッセイ、「生きるコント」を読んで、「今一番面白いのは大宮エリーだぜっ!」って胸を張って言えるようになれそうです。

生きるコント (文春文庫)

大宮 エリー / 文藝春秋



 五木寛之さんの「生きるヒント」をパロってるところが大宮エリーっぽい(ホントはあんまり大宮さんのこと知らないけど・・・)。
 そして、各エピソード全て大宮さんの実体験なのですが、本物のコントみたいで笑ってしまいます。

 私はこの本を喫茶店と列車の中で読みましたが、面白すぎて声に出して笑ってしまいました。

 
 最初の「ビキニ」というお話からぶっ飛ばしてくれます。

 リオのカーニバルにどうしても行きたくなったエリーさん。
 ブラジルは治安が悪いと聞いていたので、現地人になりすまそうと、黄色いビキニで街をぶらつき、夜のカーニバルにもビキニのままで観光しようとしたところ・・・、


 
 勢いよく黄色いビキニで乗り込むと、なんと、びっくりな出来事が起こった。ブラジル人たちが、「え?」っていう目でわたしを見た。車内が、しーん、と、なっている。夜は、ブラジル人だって服を着てたんです。そ、そんな・・・・・。昼だけかよー、ビキニ!
 略
 すると、今度は、みんな何やらわめきながら、わーーーっと、わたしのほうに押し寄せてきた。あーあ、やられちゃうのかな、わたし・・・・・おかん、ごめん。そう思って顔を上げたら、みんなすごい笑顔だった。
 「ボニート」と、言っている。勇気がある、という意味らしい。ありがとう。拍手まで起きた。
 「アミーゴ」というかけ声の下、車内中が意気投合、「サンバ!」一つになる。
 略


 その後、バスを降りてカーニバル会場までのスラム街をビキニで歩くことになったエリーさん。

 
 呆然と立ち尽くすも、いつまでもそうしているわけにはいかない。だって危ないし、一人だけビキニだ。だから、走った。とりあえず、走った。なんとなく歩いている場合じゃないと思ったのだ。走ったら、安全なのか?という疑問はよぎったが、とにかく全力で薄暗いスラム街を黄色いビキニで走った。
 略
 スラムのひとたちが、わたしを指差して怖い顔して子供を後ろに隠したのだ。え?なんで?わたしは驚いた。わたしもみんなのこと怖いけれど、もしかしてみんなもわたしのこと、怖いの?怖がられてる?
 略
 ショック。カーニバル会場でも誰にも話しかけられず、極めて、安全だった。
 略



 その後、親しくなったホテルの従業員に紹介されたサンバを観て踊れる劇場へ行くことに決めたエリーさん。
 だけど、劇場に行くまでの道でチケットを落としちゃうのだ。
 
 
 どこで落としたんだろう。泣きながらアミーゴの元に舞い戻る。慰めてくれるかと思いきや、アミーゴは、きっと落ちていると断言し、もったいないから探しに戻れ、とわたしを責めたてた。
 治安が悪そうだし・・・・・、と渋るわたしにアミーゴは言った。
 「ロスでは、理由もないのに人を殺すが、リオでは理由があって、人を殺します。お金欲しさなので、お金をあげれば殺しません。だからセーフティ」
 余計に怖くなったが、仕方なく、探しに行くことに。
 しかし本当に真っ暗で目を懲らさないと何が落ちているのかも分からない。こんな所でキョロキョロしていては危ない。こんなときは、迷わず拾えばいいんだ。それしかない。
 なんでもズバッ、ズバッと、確信を持って拾う。しかも軽く踊りながら。変だと思われれば誰も近寄らないし安全だ。踊っては、目に付いたものを拾っていたら、両手は鼻紙やら、よくわからないゴミでいっぱいになった。
 以下略


 
 いかがでしょう?
 この箇所、何度も読んだのにもかかわらず、タイピングしながらまた笑っちゃいました。

 普通の人なら・・・、

 まず、治安の悪いカーニバルの時期に女一人でリオには行かない。
 現地の人になりすまそうっていう方法は考えたとしても、ビキニで街はうろつかない(昼も夜も)。
 いくらアミーゴに「もったいないから拾ってこい」と言われたとしても、夜中に暗い道で踊りながら(!)捜し物をしたりしない。


 だけど、そこが奇才、大宮エリー。
 凡人とは逆の行動をすることによって、誰にも真似できない体験をし、才能が研ぎ澄まされていくのでしょう。(ホント?)


 この「ビキニ」のようなエピソードがあと48編編集されています。
 公共の場での読書には気をつけて!

 
 余談ですが・・・。


 


続きはこちらへ。

by chimamotto | 2010-04-28 13:36 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

ペディグリー

 高尾慶子さんのエッセイ、「イギリス人はおかしい」を読みました。

イギリス人はおかしい―日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔 (文春文庫)

高尾 慶子 / 文藝春秋



 高尾さんは、イギリスで「エイリアン」のリドリー・スコット監督宅のハウスキーパーとして13年間働いていたそうです。
 労働者階級から貴族や大富豪まで幅広い層のイギリス人と接した筆者だからこそ見えたイギリス人の性質や生活を毒舌でぶった切っている面白いエッセイです。


 本書の中に、「英国の階級意識とペディグリー」という項目があるのですが、

 「ペディグリー」という単語が、「血統」という意味だと初めて知りました。

 どうしても、一番先に思い浮かぶのは、これ。

 ドッグフードのペディグリーチャム

 ということは、ペディグリーチャムは、血統書付きの犬専用のドッグフードだったのでしょうか?
 

 脱線しましたが、イギリス人貴族は「ペディグリー (血統)」を保つために、貴族同士美しい人を選んで結婚し子孫を残すので、イギリス人貴族が大勢集まると、揃って長身でブロンドの人ばかりになるとのこと。
 ペディグリーの違う代々の労働者階級は、貴族と比べて小柄な人、太っている人が多いとのこと。

 
 
 ほほ~ん、と思った矢先、「遺伝相談」のことについて話を聞く機会がありました。

 医学の進歩によって、個人の遺伝子を調べることで病原がわかり、遺伝子治療できるようになったりと、良いこともあるけれど、もちろん悪いこともあります。

 「遺伝相談」を希望する患者さんも増加傾向にあるとのこと。

 相談後、結婚する予定だったカップルが別れることになったり、堕胎手術を決意する夫婦がいたりするそうです。

 もちろん、障害がある子どもができる可能性がある、ということがその理由です。


 う~ん。う~ん。なんだかなあ・・・。


 そのうち、似たような見かけの似たような能力の人間(美貌でスタイルが良く、頭脳明晰でスポーツ万能)しかいなくなるかもしれない。

 街中、マネキン人形(みたいな人)だらけの不気味で奇妙な世界を想像してしまいました。
 手塚治虫さんが描いてそう。(もしかしてもう描いてる?)
 そんな世界がくるかどうか、それは今の私たちの小さな決断に依るところが大きいのでしょう。



 日本人は、外来語をそのままカタカナで表現しすぎ!
 ということも、本書で、高尾さんが主張していました。

 ペディグリーチャムも、日本語にすればいいのにね。
 「血統犬の餌」のほうがわかりやすいし。
 ところで、「チャム」って英語ですか?
 

 
 

by chimamotto | 2010-03-19 18:10 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

にょにょっ記

 先日、俳句の本を探しに本屋に行くと、俳句・短歌のコーナーに穂村弘さんの「にょにょっ記」が平積みされていました。

にょにょっ記

穂村 弘 / 文藝春秋



 どうやら、「にょっ記」の続編のようです。(「にょっ記」に関する記事はこちらへ)
 「にょっ記」ファンだった私は、ほくほく顔で購入。

 穂村さんは確か歌人だけれど、「にょっ記」は日記形式のエッセイのような詩のような不思議な作品。

 今回の「にょにょっ記」も初っぱなから穂村ワールドに引きずり込まれ、にやにや笑いをしながら一気に読破いたしました。

 気になった箇所を一部紹介しますね。


 4月6日 流行・その2

 友だちに自慢をする。

 「昨日、吉祥寺で流行をみつけてさあ」
 「流行?」
 「うん。今、若い女性の間でフードをかぶったままパーカーを着るのが流行ってるっぽいんだよ」
 「へえ、そうなんだ」
 「木村カエラあたりがやってるんじゃないかな」
 「へえ、木村カエラが」
 「いや、知らないけど、なんかスタイル的にね、そうかなあって」

 私は木村カエラについて詳しくないが、まあまあ知っている。
 たぶん、あのひとかあのひとがカエラだと思うのだ。


 「まあまあ知っている」、「たぶん、あのひとかあのひとがカエラだと思う」というとても曖昧な段階で「木村カエラあたりがやってるんじゃないかな」と言っちゃった穂村さん。
 大当たりです。センス抜群です。
 カエラはフードをかぶったままパーカーを着てますよ!



 5月25日

 お蕎麦屋さんに行く。
 天せいろを食べているとき、突然、箸が操れなくなる。
 今までちゃんと使えてたのに、と驚く。
 だが、挟めない。
 動かない。
 駄目だ。
 いくら指を動かそうとしてもびくともしないのだ。
 まさか、と閃く。
 脳梗塞か。
 脳の血管が詰まると、指先が動かなくなったり、舌が回らなくなったりすると云う。
 慌てて舌の回りを確かめてみる。
 らりるれろ。
 らりるれろ。
 らりるれろ。
 らりるれろ。
 どうだろう。
 ちゃんと回っているだろうか。
 自分ではよくわからない。
 店員さんに、らりるれろ、を聴いて貰おうか。
 でも、変に思われるかも。
 いや、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。
 でもでも、やっぱり携帯で誰か友達に電話して、らりるれろ、を聴いて貰おうか。
 パニック状態のまま、くるくると考えながら、ふとみると、箸の先っぽに透明なネギの輪っかがはまっていた。


 なんとも可愛らしい日記です。最後のオチで納得。ありそうです。
 いつの日か誰かが、「らりるれろ」を小声で連呼している姿を見かけたとしても、
「脳梗塞を疑っているのだな」とピンときて、「ちゃんと言えてますよ」と言ってあげられそうです。



 7月15日 タカオ

 友人にきいた話を思い出す。
 バスのなかで母親に尋ねられたのだという。
 「タカオって誰?」
 母が指さした先には紳士服の広告があった。

 「エレガントなスーツを貴男に」


 これは、ある。
 声に出して聞く前に気づくかどうかの問題です。

 
 9月3日 プリン
 
 コンビニエンス・ストアの棚にずらりと並んだプリンたちをみていて、不意に気づく。
 豆腐に木綿と絹があるように、プリンにも木綿と絹があるらしい。
 豆腐はどっちがいいか迷うけど、プリンは迷わない。
 木綿の方が好き。


 えっ?プリンに木綿と絹なんてあるんですか???
 ホントに?それとも、穂村ワールドのお話???
 私なら、プリンは木綿、豆腐は絹が好き。


 今回も本文のイラストは、フジモトマサルさんです。

 カワウソ(たぶん)が、キオスクで、
 「その豆腐柄のハンカチ、一つください」
 と言うと、店員さんが、
 「木綿と絹がございますが」
 と答えている一コマ漫画に笑いました。


 リカちゃん電話に関する日記が2つあるのですが・・・。



続きはこちらへ。

by chimamotto | 2010-01-07 16:42 | エッセイ | Trackback | Comments(6)

北京大学てなもんや留学記

 谷崎光さんのエッセイ、「北京大学てなもんや留学記」を読みました。


 谷崎さんは中国貿易商社勤務を経て作家になった方で、2001年から北京に在住されています。
 この本は、作者が北京大学に留学していた2年間の生活を綴ったエッセイです。
 観光で中国に行ったのではわからない、中国人の本音がわかって興味深いです。

 北京大学は、「一流の学生、二流の老師(先生)、三流の管理」といわれているそうです。
 
 北京大学の学生は、とても親切でおせっかいなほど。困っている谷崎さんを見かけると初対面でも「何か困ったことがあったらいつでも連絡して!」と携帯番号やメールアドレスを教えてくれるとのこと。
 
 先生が二流と言われるのは、国から中国政府にとって都合の悪い真実を学生に教えてはならない!という厳しい規制があるから。
 よって、優秀な北京大生も、中国の状況を国際的かつ客観的に理解している学生は留学経験のある一握りのみとのこと。
 
 そして、官僚は賄賂で食べているとのこと。(賄賂をもらわなければ食べていけないほど給料が少ない)
 出生届を提出するときから、賄賂を官僚に渡すのが当たり前なのだとか。
 中国人がなぜ、あんなにパワフルでタフなのか、背景を知ることが出来ました。
 

 引用文
 
 こんな汚職まみれの中国は民衆の不満が爆発し、遅かれ早かれ自滅する、という意見があるが、私はそうは思わない。理由は、
 ①大陸の中国人からすれば今は中国の「有史以来、庶民が一番食えている時代」で、生活は昔より良くなっている-と多くの庶民自身が思っている。つい最近まで本当に食えなかったのである。
 ②庶民も勝ち組と負け組に分裂している。革命できるような人材もそうでない人材も、お金儲けに、もしくは生きるために必死。怒るべき農民は無学状態におかれ、暴力以外に力なし。和階(調和)社会というわりに、中国政府が農村に投入した教育費は極少。
 ③共産党の権力は絶大である。暴動は頻発するだろうが押さえ込むだろう。
 ④若者ほど男女ともに仕事の意欲があり、人間的にまともな人が増えている。

 よく考えたら共産党のやっているのは、昔ながらの洗脳と愚民政策と、真実は何も教えない情報封鎖と嘘、ねじ曲げの大本営発表、憎しみの対象を目の前にぶら下げる(我が祖国、日本です)、監視、そして暴力なのだが、今なお効果高し・・・・・・。
 庶民はヨソの国のことは知らないし、自国のひどい部分を自覚できず、「でも昔より良くなった・・・・・」と言うしかない。格差社会の場合、「下流」に教育を与えてはいけないとよく知っているのである。どこかの国のように働かなくなってしまうから。誰も人の奴隷にはなりたくない。
 経済は確かにバブルだし、中国のどの会社も競争が激しくて疲れ切っている。
 ゆえにときどきグシャッとつぶれながらも、「豊になりたい貧しい人」がまだまだ後ろにおそろしくたくさん控えているため、最悪の状態にはならず、グシャ、復活、ちょいグシャ、復活をくりかえして、発展していくだろう。


 谷崎さんのおもしろエピソードの中に、上記のような鋭い中国経済の分析があったりして、ナマの中国をリアルに感じられます。

 また、現在の20歳前後までの若者はみんな反日教育を受けているため、潜在的に反日感情がある、ということも初めて知りました。

 中国人の悪口を笑顔で言いながら、それでも現在も中国で暮らし続けている谷崎さん。
 悪口を言いながらも、それ以上に中国人への愛情を感じずにはいられないエッセイでした。

by chimamotto | 2009-12-05 14:59 | エッセイ | Trackback | Comments(0)