ANA国内線【PR】

<  2011年 11月   >

  • チャイナタウン
    [ 2011-11-12 06:02 ]
  • 君は永遠にそいつらより若い
    [ 2011-11-05 16:11 ]
  • 一着を三度新しく
    [ 2011-11-02 18:29 ]

チャイナタウン

 S・J・ローザンの「チャイナタウン」を読みました。

チャイナタウン (創元推理文庫)

S・J・ローザン / 東京創元社



 主人公はニューヨークのチャイナタウンに住む28歳の中国人女性、リディア。

 彼女は探偵。

 そして、彼女のパートタイムの相棒は中年の白人男性ビル。

 旧正月前のチャイナタウンの美術館から磁器が盗まれ、二人がその調査をすることになるが・・・、

 というお話。


 アメリカのミステリ作品をいくつか読んだことがありますが、主人公が東洋人の若い女性という設定は初めてでした。

 内容も普通の探偵小説っぽくないのは、中国人の若い女性が主人公だからかもしれません。

 中国人社会独特のネットワークの広さや中国人同士の繋がりの強さを使って真相に近づくリディア。

 一方、相棒のビルは、長年の探偵経験を生かした経験や人脈から真相に近づいていきます。

 
 この小説で最も魅力的なのはそんな主人公二人の文化や年齢の違いともうひとつ。

 食事のシーン。

 外食では二人がどんな飲み物と食事を注文したか、誰かの自宅に訪ねた際に出された飲み物の種類、事務所で飲食しているものの種類・・・、ととにかくどんなに些細な食事のシーンでも必ず何を二人が飲食しているのかを書いてくれているので、想像力も高まり、感情移入もしやすくなっているのです。

 そしてそして、中国人女性と白人男性の最も異なる点は好きな飲み物。

 リディアはとにかくお茶が大好き。中国茶から紅茶までさまざまな種類のお茶をいつも飲んでいます。

 それに対してビルはコーヒー党。

 
 とにかく何か所もある食事の描写。そのうちのいくつかを引用します。

 引用

 三番街を二ブロック行ったところの終夜営業のコーヒーショップが、きっちり切り取ったような四角い光を通りに投げかけていた。

 お茶を一杯だけ、そうしたら家に帰ろう。

 わたしよりもっと眠たそうなやせた十代のギリシャ人ウェイターに、紅茶とキャロットレーズン・マフィンを注文した。

 以下略
 


 引用

 コーヒーと紅茶と、したたるばかりにバターのついたベーグルを前にして、わたしたちは徹底的に話し合った。

 以下略
 


 引用

 ウーロン茶と菊茶を混ぜてお茶をいれ、デスクの椅子に腰を下ろした。

 略
 

 ブレンドのきいたお茶が優しくわたしの脳を目覚めさせた。

 略

 黄色いマグカップはお茶を飲むのを楽しくし、お茶は心を安らかにした。

 以下略



 私はコーヒーよりお茶がすきなので、自然とリディアのシーンばかりになってしまいました。
 
 したたるばかりにバターのついたベーグルや、ウーロン茶と菊茶のブレンドティーなど、気になるものばかり。

 今、ちょうどおなかペコペコなので、さらにおなかがすいてきました。


 で、この作品はシリーズになっていて、シリーズごとに語り手が変わります。

 なので、次回はビルが主役。

 何度も読み返している作品ですが、なぜだか飽きのこないお気に入りです。

 ニューヨークでお茶を飲んでいる気分が味わえます。



 写真ブログを始めました。
 こちらもよろしくお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
 ねことひつじと
Tags:# 

by chimamotto | 2011-11-12 06:02 | 小説 | Trackback | Comments(0)

君は永遠にそいつらより若い

 津村記久子さんの「君は永遠にそいつらより若い」を読みました。

君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)

津村 記久子 / 筑摩書房



 津村さんの作品の過去記事はこちらへ。
 「ポトスライムの船」

 今回の主人公はホリガイ。大学4年生の女の子。

 就職も決まり、あとは卒業を待つのみ。

 そんなホリガイが元同級生の頼みを聞いたことから、イノギさんという同じ大学の3年生の女の子と知り合いになって・・・、

 というお話。


 特になにということが起こるわけではありませんが、何も起こらないわけでもありません。

 ホリガイの精神的な成長が感じられます。


 ヒロインのホリガイさん。ちっともヒロインらしくない。

 地味でちょっと変わっていて、自分に自信がなくて。

 なんとなく私に似ている。


 物語の序盤に、こういう文章があって、ああ、こういうところ私にもあったなあって思いました。

 引用

 とても哀しかったのだった。

 また変わった女の子だとおもわれてしまった、とつらくなった。

 そんなふうには思われたくないのだった。
 
 個性には執着しないのだ。

 執着しないどころか、積極的になくしてしまいたいと思っている。

 けれどもやっぱりわたしは、変なふうに思われてしまうようなことを言ってしまう。

 いつもそうだった。

 女としてどうしようもないのなら、せめてそちらの側に立って話ができますよ、といらぬ売込みのようなことをして、変わった子だ、という印象だけを植え付けてそれで終わり。

 以下略



 女として・・・のところなんか、ものすごくわかる。
 
 まあ、今ではそんな自分をちゃんと受け入れることができているけれど、若いころはこんなことばかりだった。


 津村さんが描くヒロインはどこかいつも私に似ている(気がする)。

 だから主人公に感情移入してしまって、ちょっと切なくなる。

 でも、私が思っているより彼女たちはもっともっと強い。

 だから嬉しくなる。

 
  
 

 写真ブログを始めました。
 こちらもよろしくお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
 ねことひつじと
Tags:# 

by chimamotto | 2011-11-05 16:11 | 小説 | Trackback | Comments(0)

一着を三度新しく

 中原淳一さんの「あなたがもっと美しくなるために」を読みました。

あなたがもっと美しくなるために

中原 淳一 / 国書刊行会



 これは昭和33年に発行された本です。

 この本に関する過去記事はこちらへ。
「あなたがもっと美しくなるために」


 50年ぐらい前の本なのに、読んでいると新鮮で、毎回感心することがたくさんあります。

 以下引用

 ワンピースなら一冬に二枚や三枚作るひとでも、オーバーとなったら、やはり二年に一枚も作ればいい方でしょう。

 略

 ところがオーバー地は値が張るし、仕立代も高い。

 略
 
 そうして二年も着たら「まだ着られるのに」などといわれないで、サッとといて新しい形に作り替えることです。

 二年に一度、そのようにして三回仕立替えたとすれば、六年に三度新しい形が着られるわけです。

 以下略
 


 そうなんです。
 昔は普通の人は、自分で洋服を仕立てていたんです。


 NHKの朝ドラの「カーネーション」を思い浮かべました。

 コシノ三姉妹のお母様であり、自身もデザイナーであった女性の半生記。



 今はまだ自分のミシンを持ってないので、手縫い(!)で洋服を作っています。



 生地も高いので、慎重に選んで布を裁ち、丁寧に縫っていく。

 そんな主人公の いとこ の姿と、当時中原さんが向けて書いた読者の姿に重なります。


 モノが少なかった時代の生活の知恵。

 なかなかこの時代の真似はできませんが、見習っていきたいものです。



 写真ブログを始めました。
 こちらもよろしくお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
 ねことひつじと





続きはこちらへ。

by chimamotto | 2011-11-02 18:29 | その他 | Trackback | Comments(0)